由紀さおりさんと、アメリカ・オレゴン州のジャズ・オーケストラ ピンク・マルティーニが共演したアルバム『1969』が世界的にヒットしていますね。
私も1969年頃の曲は大好きで、当時ヒットした歌謡曲のオムニバス盤なども持っているのですが、この『1969』も、アマゾンのショッピングカートにしっかり入れました。
<11月1日にiTunesでの配信がスタートした米国では翌2日付ジャズ・チャートで1位、カナダのiTunes チャート「ワールドミュージック」でも1位を獲得した。さらにギリシャではCDがアルバムチャートで6位、シンガポールでも18位と健闘するなど各国でヒットしている。>(2011年11月26日 毎日新聞 東京夕刊)
ロンドンのロイヤル・アルバートホールでのジョイントコンサートも大成功、全米ツアーへの参加も決まり、日本レコード大賞の企画賞も受賞するなど、まだまだこの勢いは続きそうです。
この共演のきっかけが、ピンク・マルティーニのリーダーのトーマス・L・ローダーデールが、『夜明けのスキャット』の中古レコードを見つけてジャケ買いしたことだったというのは、実に運命的であり、興味深いです。
昨夜のTBS『ニュースキャスター』でも、由紀さおりさんご本人が、「それにしても、ポートランドの中古レコード店に私のレコードを売ってくれた人は誰なんでしょう」みたいなことをしみじみ語っていらっしゃいました。
誰かが何の気なしにした行為が、巡り巡って、世界的な波及効果を生んでいく。
蝶のはばたきのような、ほんの小さな要素の組み合わせが未来を大きく変えることを指して「バタフライ効果」と言ったりしますが、「今回のヒットを生んだ、最初の小さな出来事」に思いを馳せてみるのも楽しいものです。
それは、レコードの最初の持ち主が、1969年かもう少し後に、日本のどこかでこのレコードを手に入れた瞬間だったのでしょうか?
でも、そこに至るプロセスにも、その人の音楽の好みを作ったものや手持ちのお小遣いや、さまざまな要素がからみ合っていて、それらがあったからこそ「由紀さおりのレコードを買う」という選択になったわけで、もっともっと遡ってしまうと、もう特定することはできなくなります。
きっと自分では気づかないところで、あなたや私もそうした化学反応に関わっているのです。その仲立ちをするものは、モノに限らず、ちょっとした行いだったり、言葉だったり、一瞬のアイコンタクトだったりすることもあるでしょう。
日々、毎時間、毎分、毎秒、未来の種をまいていることを意識してみると、その瞬間、何もかもが新鮮に見えてきませんか?
そしてもうひとつの重要な要素が、由紀さおりさんがこれまでずっと歌い続けていたということです。
挫折を味わったり、やめたいと思ったこともあったそうですが、それでも続けてきたからこそ、ピンク・マルティーニとの出逢いがこんなふうに開花したのですよね。
日が当たらない期間があっても、自分にとって大切なことはとにかく続けること。それもまた大切な種まきであり、水やりでもあることを、あらためて教わった気がします。
コメント
コメント一覧 (2件)
こんばんは
いつも興味深くブログ拝見しています。
今日の記事は特に心に響きます。
ありがとうございました。
yumeさん、こんばんは^^
いつもお読みいただいて、こちらこそ本当にありがとうございます。
日本の実力ある歌手の方が世界に注目されて、
心から嬉しくなり、そこから思いが広がりました。
『夜明けのスキャット』も子供の頃から大好きなのです。