谷崎潤一郎といえば松子夫人に宛てたドMな手紙
(使用人と思って潤市とお呼びくださいまし、とか。。。)
が有名だが、正反対なものも書いていたというお話。
高峰秀子のエッセイに、こんなくだりがある。
<ある日、京都の先生から「緑が美しいから遊びにいらっしゃい」とお誘いをいただいた。
私たちだって、たまには遠慮をすることもあるから、ていねいにご辞退申しあげると、
「来てもらいたくなければ、はじめから招待はいたしません。潤一郎」
これだけのお手紙が速達で飛んできた。
大きいデンデン虫のような先生の字が便箋からはみ出さんばかりで、
まるで先生が目をむいて怒鳴りつけているようである。
ギョー天した私たち夫婦は、なにもかもおっぽりだして京都へ駆けつけた。>
先生とはもちろん谷崎潤一郎のこと。私たちとは、高峰秀子と夫の松山善三である。
書き文字の力を、こんなに臨場感あふれる面白い描写で伝えている文章はちょっとない。
ああ、見てみたいなぁ。谷崎潤一郎のデンデン虫!
今回は勝手につぶやいている記事で、失礼しました(*^-^*)
(8月に松山善三が亡くなって、このエッセイの登場人物はみんな故人となってしまいました。ご冥福をお祈りいたします。)
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