私のところで筆跡を学んでくださっている生徒さんで、女性を対象にペン字を教えている人がいます。
先日、彼女から面白い話を聞きました。
「生徒さんたちがみんな、美容院に行くんですよ!」
つまり、ペン字を習って丁寧に字を書く習慣ができると、それまでかまわないふうだった人たちも、髪を良い感じにカットして現れるようになったり、最初は暗い色を着ていた人が明るい色を着るようになったりするのだそうです。
なんとも微笑ましい気持ちになって「いいねー!」と盛り上がっていたのですが、考えてみたら、私も同じような人たちをたくさん見てきました。
筆跡診断やセミナーで関わってくださって、落ち着いて自分の文字と向き合うようになった女性たちは、
気がつくと前よりもおしゃれになっていたり、自己規制が取れて、好きなものを身に着けられるようになったりしています。
中には、本当にやりたい仕事に気づいてあっという間に転職してしまった人もいます。
人間は無意識に自分の行動のつじつまを合わせようとする生き物なので、
うんと丁寧に文字を書いたり、自分の理想にふさわしい「開運筆跡」を書いたりしているのに、
自分の髪はボサボサ、着ていて気持ちよくも嬉しくもない服を着る、自分の気持ちをごまかす……そんな状態だと居心地が悪く感じて、なんとかしたくなるわけですね。
小さな選択が人生を変える
それまで当たり前だと思っていたことに違和感を感じたら、その気持ちに素直になって、動いてみる。
もしも「私はこうなりたい」というものがあるならば、最初の一歩はそれで十分だと思います。
誰もが、振り返ってみれば、小さな選択・小さな行動がどんどん連鎖した結果、「今ここにいる私」が出来上がっているのですから。
文字(とくに自分の名前)を丁寧に書くと決めて続けていく人は、やがて行動全般に、以前よりも丁寧さが加わっていくことでしょう。
おおらかな安定感や、ベストを尽くす意志の強さなどを文字から取り込もうと努力する人は、やがて本当にそういう人になっていけるでしょう。
それは、決してありのままの自分を変えてしまうということではありません。
その人が握りしめていた美しい花の種を土に蒔き、水をやり、育てていくのと同じではないでしょうか。
私は本気でそう思っていて、だから、文字の書き方を変えた女性たちが美容院に行き始めた、なんてお話を聞くと、すごく嬉しくなってしまいます。
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